財務担当役員メッセージ

経営役員
企画創生本部 本部長
前田 和孝

1、ステークホルダーとの対話を通して、企業価値向上へ

ステークホルダーの皆さまへの安定的・持続的な利益還元を支えるため、当社は強固な財務基盤の確立を重要課題としており、株主還元、投資、有利子負債の返済において適切なバランスを強く意識した事業活動を行っています。また、ROE、D/Eレシオといった指標をモニタリングしながら、財務健全性の維持とともに、収益力の持続的向上(年輪的成長)にも全社を挙げて取り組んでいます。

ESGやSDGsといった観点での企業価値評価が拡がるなか、当社は投資家をはじめとしたステークホルダーの皆さまに対するタイムリーな情報開示とその内容充実に注力しており、先述のような経営・財務状況や今後の課題を的確にご説明することで、資本市場や社会により適切な評価をしていただきたいと考えています。

皆さまからのご意見・アドバイスに真摯に耳を傾け、経営にフィードバックすることで、これからも更なる企業価値向上に努めてまいります。

2、2019年度の業績

当社(連結)の2019年度の売上高は前期比150億円減の2,422億円、営業利益は前期比27億円増の139億円となりました。米中貿易摩擦を起因とした中国の景気減速などの影響による販売数量の減少や減価償却費の増加などの減益要因があったものの、鉄スクラップ・合金鉄価格の値下がりや全社一丸での収益改善活動などにより前期に対し減収増益となりました。

営業キャッシュフローは、利益の積み上げや運転資本の改善などにより、前年度を227億円上回る363億円の資金の増加となりました。

設備投資は、中期経営計画(2017-2020年度)で掲げている「盤石なモノづくり基盤構築」「安定した収益基盤の実現」に向けた戦略的投資を計画的かつ効率的に展開しており、2019年度は主として、鋼材・鍛造品・電磁品の製造設備の生産能力増強、鋼材・鍛造品の製造設備の合理化および老朽更新・機能向上のために総額200億円を実施しました。

また、研究開発については、素材の強みを活かした既存事業の新たな用途・商品開発と展開、来たるべきスマート社会を見据えた次世代事業の着実な育成と強化を目指して、積極的な活動を行っており、2019年度の研究開発費は37億円でした。

当社は、中期経営計画の最終年度にあたる2020年度に連結売上高2,500億円以上、連結営業利益200億円以上、ROE8%以上という目標を掲げていますが、新型コロナウイルスの感染拡大による大きなマイナス影響もあって、その達成は極めて困難な見通しです。

一方で、2019年度末のD/Eレシオは0.38倍、自己資本比率は55.16%、格付(JCR)も「A」を取得しており、財務健全性は確保できていると考えていますが、2019年度のROEは5.6%であり、前期に比べ向上したものの、2020年度の目標とは差があり、「稼ぐ力」がこれからの大きな課題と認識しています。

今後は「グループ挙げての限量経営」を更に強化していくとともに、鍛鋼一貫での部品開発の推進といった「素材メーカーとしてのDNAを活かした事業拡大・戦略」や、新ビジネスの事業化に取り組むことで、収益力を更に高めてまいります。

3、成長戦略(2030年ビジョン)達成のために

CASEに代表される自動車業界の大変革を見据え、本年、2030年ビジョン(17・18ページ)を策定しました。そして 「持続可能な地球環境への貢献」「事業の変革で豊かな社会を創造」「従業員の幸せと会社の発展」という3つの経営指針実現に向けて、社内各機能で取り組むべきことおよびそれに必要なリソーセスを明確にしました。

これから、大幅な事業モデルミックスの変革と地球環境・社会への貢献に向けた様々な成長投資を行っていきますが、設備投資については、2030年以降を見据えたリエンジ、新規分野、能力増強などの改善投資の比率を高めていくとともに、CO2排出削減のための投資や開発部門の更なる機能発揮に向けたハード面での充実など、地球環境や社員の職場環境の改善ならびにESGの充実をはかる投資も積極的に行っていきます。

また、研究開発活動については、素材メーカーとしてのポテンシャルを活かした高付加価値製品の開発、新ビジネスの積極的な創出に注力し、モノづくりの可能性を広げていきたいと考えています。これら成長投資については限られたリソーセスをいかに適切に配分していくかがカギであるとともに、収益性・リスクならびに財務健全性への影響も徹底的に精査した上で慎重に展開していかねばなりません。

会社はこれから激動の時代に入っていきますが、この2030年ビジョンをベースに今後策定していく中期経営計画や年度経営計画によってマイルストーンを明確にし、案件ごとに進捗を的確にフォローしながら、リソーセスをタイムリーかつ効果的に確保・投入していくことが我々企画創生本部の役割だと考えています。

4、新型コロナウイルスの影響下での財務マネジメント

新型コロナウイルス感染拡大への対応として、まずは社員の健康と安全を確保し、お客さまの操業に迷惑をかけないよう尽力していきます。

経営環境は非常に厳しく、この状況もいつまで続くかはまったくわかりませんが、マイナス影響を最小限にとどめるべく、生産設備の寄せ止めや集約生産などの効率的な操業、増産に転じたときにスムーズに対応するための準備など、状況の変化に小刻みに対応しています。また、働き方改革による残業費の低減やゼロベースでの経費削減活動など、できるかぎりの収益改善活動にも取り組んでいます。

財務面では、手元流動性の確保が最重要課題だと考えています。そのために、子会社を含めた資金状況を逐次アップデートしながら、グループ内融資制度をしっかりと機能させるとともに、在庫マネジメントの強化、早めの資金調達や機動的な銀行融資枠の設定などの対応を展開しております。

5、株主還元

当社は、株主の皆さまの利益の尊重を重要な経営方針としており、企業体質の充実・強化を図りつつ、計画的な事業展開により、企業価値向上ならびに配当政策の充実に努めています。この方針のもと、配当金につきましては、将来の事業展開に必要な内部留保を確保しながら、業績、財政状況および配当性向などを総合的に勘案して決定しており、連結配当性向は30%を目安としています。この方針のもと、2020年3月期の年間配当は1株あたり130円とさせていただきました。

2030年ビジョンの達成に向けて、これから各種施策を着実に進めるとともに、今後も財務情報の適時適切な開示により、ステークホルダーの皆さまのご期待にお応えしてまいります。

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