PROJECT 02

400億円の未来への投資 製造ライン“リエンジ”プロジェクト

鉄鋼は巨大装置産業であり、20年〜30年周期で設備を更新し、技術革新を行っている。
愛知製鋼では、その周期に合わせて製造ラインをリエンジ(リ・エンジニアリング)し、生産能力や品質向上を進めている。
現在、鋼材製造工程にて3つのプロジェクトが進行中だ。
2020年までに約400億円を投入し、全社体制で推進する巨大プロジェクトの
中心で活躍する3人のリーダーに、今回のリエンジにかける想いを聞いてみた。

  • 分塊リエンジ チームリーダー 黒田 英晃
  • 製鋼リエンジ チームリーダー 木下 信一郎
  • 精整リエンジ チームリーダー 田中 博文

“いかにコンパクトにするか”、に苦心しました。

製鋼工程で作られた鋼材を分塊し、半製品化する工程を担当する『分塊チーム』の黒田は、苦心を重ねた日々を思い返すように話し始めた。限られたスペースに設備を継ぎ足して構築してきた愛知製鋼の分塊圧延ラインは、他社のものと比較しかなり複雑なのだという。そのため最終リエンジプランの決定が難しく、プロジェクトが思うように進まなかったのだ。黒田は複雑なラインをいかに4S(シンプル・スリム・ショート・ストレート)に近づけるかに重点を置き、さまざまな工夫を凝らして1つの案に仕上げていった。また、新ラインを立ち上げる際も、多くの調整が必要だった。分塊圧延ラインは1つしかないため、新ライン導入のためには、現在稼動しているラインを一旦止める必要があったのだ。とはいえ、ラインを止めることでお客様の生産活動に影響を及ぼすことは許されない。そこで、営業や生産管理スタッフと粘り強く生産調整を行い、お客様にご迷惑をお掛けすることなくこの難局を乗り切った。黒田が担当したリエンジによってプロジェクト全工程の内、1/3を完了し、引き続き完遂へと向かっていく。「このプロジェクトの完遂で、年間約17億円の利益を生み出し、愛知製鋼の発展に貢献します!」黒田は力強く述べた。

重要なのは、情熱をもって直接対話すること。

そう話すのは、特殊鋼製造の最も川上にあたる『製鋼チーム』を束ねる木下だ。今回のリエンジでは、コスト面の改革と共に環境面でも世の中にアピールできるラインの構築をめざしているという。なぜなら、製鋼工程は大量のエネルギーを使うため、そこから排出される廃棄物(副産物)をより少なくし、再利用することで環境保全に貢献できるからだ。「このプロジェクトを通して、会社の歴史に自分が手がけた設備と技術と想いを残したいと考えています。」木下はそう言って、リエンジ完遂に向けて自信をのぞかせた。現在は製鋼リエンジのステップ1が進行中だが、プロジェクト全体で400億円を投入するとなると、その一部を担うとはいえ、やはり自分の力だけでは推し進めることが難しいという。そのため、関係する他部門や経営陣の協力を得ることが必須となり、電話やメールではなく直接会って話をすることが非常に重要なのだ。直接顔を合わせ対話することで新たな発見も出てくる。木下は、このプロジェクト通して若手社員に成功体験を積ませ、経験値とモチベーションを上げていくことにも力点を置いており、「重要なのは、情熱をもって直接対話すること。」この言葉を絶えずかけ続けている。

まずは精整ネックを解消する。そこからのスタートでした。

お客さまがご要望される品質がきちんと保証されているかの最終検査を行う『精整チーム』の田中はそう話す。製造ラインの最も川下となる精整工程は、以前は生産能力が思うように上がらず、他部署からは「精整ネック」と呼ばれていたという。「精整工程がこのままの状態では、全社リエンジも前に進まない。まずは我々が強くならなければいけない。」そう考えた田中は、全社リエンジが始まる前から他チームに先駆けて準備をスタート。生産能力を他の工程と同レベルにし、全工程の生産能力バランスをとることを進めた。また、リエンジプロジェクトは、川上から川下の全ての工程の全ての現場担当者に、その目的や想いを理解し、腹に落としてもらわなければスムーズに進まない。現場スタッフの声にもしっかりと耳を傾け、より良いものに変えていく。そのやりとりが最も大変だが、逆にそこが醍醐味でもあると田中は話す。「次のステップでは、我々最終工程の生産能力のレベルを最高に引き上げます。そうすることで、すべての能力がぐっと底上げされるはずです。」田中は業界No.1の供給能力を持った工場の実現をめざし、プロジェクト完遂に闘志をもやしている。

今回話を聞いた3人のリーダーに共通する想いは、「自分が育て、育てられてきた工場に、最良の設備と技術を導入したい。」という強いこだわりだった。リエンジプロジェクトが完遂されれば、その後の20年〜30年はこの製造ラインが使われる。その重みをずっしりと感じ、各々が覚悟をもってプロジェクトに取り組んでいることがインタビューを通して伝わってきた。その想いはきっと、彼らの後に続く後輩社員たちにも脈々と受け継がれていくだろう。

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