臨床手順の特長
天然歯用磁性アタッチメント(マグネットデンチャー)を用いた臨床手順は、支台歯の形成や技工操作は通常の支台歯(根面)形成、根面板の製作、磁石構造体の取付けシンプル手順からなります。高度な治療技術でありながら特殊な器具は不要です。
詳しくは技工・臨床動画をご覧ください。
マグフィット(鋳接法)
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1. 術前の口腔内
上顎両側犬歯を支台歯としてマグフィットを維持装置とするオーバーデンチャーを作製します。
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2. 支台歯形成
根面形成、根管形成を行い、回転防止溝を付与し、支台歯形成を行います。
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3. マグフィットの選択
診断用ゲージを使い、高径と歯根断面を確認し、使用する製品を決定します。
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4. キーパーの溶接
作業用模型上、キーパのロウ型への溶接は咬合平面と平行になるようにします。
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5. 根面の合着
キーパを鋳接した根面板を酸洗し、研磨仕上げした後、支台歯へセメント合着します。
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6. 磁石スペースの確保
磁石構造体の位置決めをした後、義歯を口腔内に装着し、磁石構造体との間のスペースを確保します。
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7. サンドブラスト処理
常温重合レジンとの接着強度を高めるため、アルミナサンドブラスト処理を施し、金属プライマーを塗布します。
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8. 磁石構造体の合着
磁石構造体の合着は、義歯の調整が完了した1~2週間後に行います。
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9. 磁石式義歯の完成
完成義歯を口腔内に装着した状態です。
臨床ケースご提供元:都尾元宣教授(朝日大学)
マグフィットSX2
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1.支台歯形成・根面板作製
マグフィットRKR臨床ステップを参考にし、根面板を作製します。
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2.印象採得
キーパが取り付けられた支台歯に対し、個人トレーを用いて印象採得します。
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3.プラスチックダミーとワッシャタイプスペーサの設置
作業用模型を作製します。模型のキーパ上にプラスチックダミーを固定し(瞬間接着剤を使用)、キーパ部にワッシャタイプスペーサを圧接します。その後、アンダーカット部をモデルリペア剤などで埋めます。
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4.義歯製作
通法に従って重合し、取り出した後、バリを研磨します。
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5.プラスチックダミーの除去
プラスチックダミーにフィッシャーバーなどで溝をつけて除去します。この際、磁石構造体のスペースに傷をつけないようにします。
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6.ワッシャタイプスペーサの除去
エバンスなどのインスツルメンツで、ワッシャタイプスペーサを取り除き、内面を整えます。
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7.磁石構造体の前準備
磁石構造体の吸着面にメタルスペーサを吸着させ、その周辺をワックスで封鎖します。
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8.磁石構造体の取り付け
磁石構造体をシアノアクリレートで仮着後、義歯と磁石構造体のスペースに即重レジンを筆盛で充填します。
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9.メタルスペーサの除去
スチーマーによりワックスを除去し洗浄後、スペーサを取り除きます。
臨床ケースご提供元:中尾歯科医院(広島県尾道市)
マグフィットRKR
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1.術前治療
歯内治療完了後、根管の長さ、充填状態、歯列及び根管の曲がりをX線写真にて真確認します。
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2.根面形成
健康な硬質象牙質を歯根表面に残し、齲食組織があった場合、そのすべてを取り除きます。
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3.根面形成の完成
キーパ吸着面と咬合平面を平行にするため、歯根表面と咬合平面を平行にしておく方が、ルートキーパを装着しやすくなります。
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4.根面形成
ピーソーリーマーを用いて根管形成します。ポストの外径よりも若干大きめのΦ1.5mm程度の根管形成が推奨とされます。また、根管充填材の根尖封鎖部長さは3mm以上残す事が望ましいとされます。
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5.キーパの試適
ポストは根管に容易に挿入できなければなりません。さらに、キーパ底面と歯根表面の距離は、できるだけ小さく、かつキーパと咬合平面が平行となるようにして下さい。
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6.キーパ挿入の前処理
デュアルキュアタイプのコンポジットレジンを用いて支台築造後、根管内に注入します。
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7.キーパの挿入
挿入前に、吸着面を除くキーパの表面にコンポジットレジンを塗布しポストの溝を充分なレジンにて満たしておきます。そして、歯根面にルートキーパを挿入します。
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8.形態修正
キーパを削らないように注意し、形を整え、その後研磨します。歯根からはみ出た過剰のレジンは歯肉炎を防ぐために取り除きます。
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9.完成
レジンコーピングの完成です。
臨床ケースご提供元:中尾歯科医院(広島県尾道市)