電動アクスル用モータ・減速機
背景
昨今の急速な電動車の普及に伴い、駆動ユニットである電動アクスルに使われるリチウム・コバルト・ネオジムといったレアメタルや電磁鋼板の資源リスクが懸念されています。
創業以来80年以上自動車の駆動系部品を製造してきた当社は、特殊鋼やボンド磁石の素材技術を応用し、電動アクスルの省資源化の研究開発に取り組んでいます。
電動アクスル(e-Axle)とは?
電動アクスルは、ガソリン車のエンジンに替わる電動車の駆動ユニットです。主にモータと減速機、インバータで構成されています。
モータの高速回転化の技術
Nd焼結磁石を使った一般的なEVモータは約20,000回転/分以下ですが、当社が開発した世界最強のボンド磁石「マグファイン®」を使ったモータは、電気抵抗率の高さと耐遠心力性に優れているため、約34,000回転/分という超高速回転を実現しました。
EVモータ最大回転数の比較
マグファイン®が超高速回転を実現できる理由
①高電気抵抗率
ボンド磁石であるマグファイン®は、Nd焼結磁石と比べて電気抵抗率が約100倍高いため、高速回転の妨げになる発熱を抑えることができます。
マグファイン®とNd焼結磁石の電気抵抗率の比較
②耐遠心力性
マグファインの一体成形技術によって、高速回転の遠心力に耐えられるロータの機械強度を実現することができます。
一体成形磁石ロータ
ローター体成形技術の進化
減速機の小型・高減速化の技術
必要な車軸トルクを発揮するため、モータの高速回転化に伴い、減速比を高くする必要があります。
一般的に減速比を高くすると減速機の体格が大きくなりますが、当社が長年培った鋼づくりの「鍛鋼一貫」プロセスを活用し、従来のギヤ用鋼を30%高強度化することができ、小型かつ高減速の減速機の開発を実現しました。
小型・高減速のため従来ギヤ鋼を30%高強度化
効果
モータの高速回転化および減速機の小型・高減速化の技術開発によって、電動アクスルを40%小型軽量化しました。
電動アクスルの主要素材の省資源化
高速回転・高減速の実証試験から、電磁鋼板、銅など電動アクスルの主要素材を70%以上低減できる可能性を確認することができました。
電動アクスルの主構成材料重量比
同出力を出すのに使用する素材量(相対値)
主構成材料 | 一般的電動アクスル | 開発品 | |
---|---|---|---|
モータ部 | 電磁鋼板 | 100 | 25 |
銅 | 100 | 30 | |
レアアース磁石 | 100 | 30 (Dyフリー) |
|
減速機部 | ギヤ・シャフト(ディファレンシャル・ギャ部除く) | 100 | 100 |
減速比1当たりの使用する素材量(相対値)
主構成材料 | 一般的電動アクスル | 開発品 | |
---|---|---|---|
減速機部 | ギヤ・シャフト(ディファレンシャル・ギャ部除く) | 100 | 50 |