環境

環境マネジメント

2030年ビジョンの経営指針の一つである「持続可能な地球環境への貢献」に向け、2025年までのアクションプランとして「アイチ環境取り組みプラン2025」を策定しています。2025年までに達成する目標を定め、その実現に向け、「エコエネルギー」「エコプロダクション」「エコマネジメント」の3本柱を中心に取り組んでいます。

エコエネルギー
  • エネルギー効率の追求
  • 製造プロセス改革
  • クリーンエネルギー導入
エコプロダクション
  • エコ製品・エコ技術開発
  • 次世代インフラへの貢献
  • 資源循環の追求
エコマネジメント
  • 環境責任の徹底
  • 自然・生物多様性保全
  • 環境情報発信・開示

環境方針概念図

環境方針概念図

推進体制

取締役会の監督下で社長を議長とする「地球環境会議」を中心に、PDCAサイクルを効果的に回し、環境マネジメントの推進に取り組んでいます。地球環境会議では会社方針およびアイチ環境取り組みプランに基づいた、戦略の実行や目標の設定、進捗状況の確認を行っています。地球環境会議の下部組織として6つの分科会を設置し、担当範囲を明確にすることで効率的・重点的に活動を専門的な視点から推進しています。またグループ会社との連絡会を設け、情報や好事例を共有することでグループ一体となって活動しています。

推進体制
分科会 役割
CN企画
  • 情報収集、戦略立案などの全体総括
CN技術革新
  • 再生可能エネルギー、CCUSなどの利用技術開発
CN省エネルギー
  • 省エネ・生産効率向上などの改善
CNプロセス改革
  • 生産工程における革新的技術の開発など
自然環境保全
  • 生物多様性や緑地保全活動
エコ製品
  • 環境貢献製品の開発など

エコエネルギー

当社のCO2排出量の約9割は、製鋼工程で鉄スクラップを溶解する際の電力使用と、鋼材の加熱に用いる都市ガスによるものです。2050年でのカーボンニュートラル実現に向けて策定したロードマップに基づき、これまで培った省エネ技術を深化させる取り組みと日常における徹底したムダの排除、そして抜本的な製造プロセス改善によるエネルギー削減を推進しています。2022年度には、継続した省エネ活動や太陽光発電設備の導入に加え、水素やCCUSといった将来の脱炭素技術の活用に向けた検討を開始しました。

2022年度CO2排出量内訳
( 愛知製鋼単体のScope1+Scope2)

2022年度CO2排出量内訳

エコエネルギーの追求

当社の省エネ活動は、製造工程におけるエネルギー効率の最大化とロス最小化に向けて「有効方策の徹底的な横展開」、「IoT基盤構築によるエネルギーの見える化(ムダの顕在化)」、「社員の省エネ意識醸成」の3つの切り口で活動するワーキンググループを設置し、取り組みを推進しています。

①鋼材加熱炉への低放射塗料塗布による熱損失低減

鋼材加熱炉に低放射塗料を塗布し、放射熱による熱損失の低減に取り組んでいます。モデル設備での検証を進め、放散による熱損失を従来比で半分以下に抑制することができました。今後は対象設備を社内の鋼材加熱炉に拡大し、さらなる熱損失の低減に取り組んでいきます。この他にもコンプレッサーの制御改善による待機運転ロス最少化や設備改善による使用量低減なども順次、実施しています。

②エネルギー使用状況の可視化

IoTを活用することで、リアルタイムかつ緻密なエネルギー使用状況を収集・分析できる体制の構築を進めています。今後は操業データと紐づけ、ライン単位から設備単位でのデータ解析などを進めることで、エネルギー効率の向上やデマンドレスポンスへの柔軟な対応などエネルギーマネジメントの高度化に取り組んでいます。

クリーンエネルギーの導入

太陽光発電の導入や将来の水素活用に向けたクリーンエネルギーの導入拡大に、取り組んでいます。2021年度にトラッキング付FIT非化石証書を購入することで、4工場(岐阜、関、東浦、刈谷)で使用する電力を実質的に再生可能エネルギー化しました。2022年度には太陽光発電設備を2工場(関、岐阜)に導入し、2023年度から稼働を開始しています。また将来の水素活用を見据え、水素と都市ガスの両方を燃料として使用できるガスバーナーを導入しました。今後は利用技術の開発、実証実験を進めていきます。

工場別カーボンニュートラル達成状況

工場別カーボンニュートラル達成状況
  • 再生可能エネルギー(再エネ)の普及促進のために設けられた「固定価格買取制度」の対象となる非化石電源(石炭や石油といった化石燃料を使用せずに発電する電源)によって発電された電気の環境配慮の価値を証書化したもの
  • 天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生するCO2をCO2クレジットにより相殺(カーボンオフセット)したカーボンニュートラルLNGを活用するもの

エコプロダクション

当社は自動車やインフラの解体などから発生する鉄スクラップを高品質な特殊鋼製品や自動車部品などによみがえらせることで鉄資源の循環と経済価値の両立を実現している資源循環型企業です。資源やエネルギーの効率的な利用により、資源投入量や消費量を抑えつつ、製品・部品の再使用、廃棄物・原材料の再利用の取り組みを更に加速させることで、循環型経済(サーキュラーエコノミー)への移行を目指します。

資源循環の追求

限りある資源やエネルギーを無駄なく有効に活用するため、当社ではReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)、Renewable(リニューアブル)の4R活動に注力しています。

4R 当社の取り組み事例
Reduce
  • 製造に使用する資源量やエネルギー量を少なくする、廃棄物を少なくする
  • 製造プロセスにおけるエネルギーの消費量の最小化と効率の最大化
  • 希少資源の利用を抑えた磁石などの高機能材開発
  • スラグなどの副産物の再利用拡大による廃棄量減少
Reuse
  • 一度使用したものを繰り返し使用すること
  • 電気炉で使用した熱を蒸気ボイラーなどのエネルギーとして再利用
  • 400℃以上の工場排熱を利用できる蓄熱システムの開発
Recycle
  • 廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること
  • 低品位の鉄スクラップ利用の拡大
Renewable
  • 再生可能な資源・エネルギーを使用すること
  • 自社での太陽光発電設備の導入拡大
  • 再生可能エネルギー由来電力の使用拡大
エコプロダクション

エコマネジメント

当社の持続的な成長には地域・自然との共生が必要との考えに基づき、関係団体と連携し、地域の環境保全活動に取り組んでいます。

産業廃棄物最終処分場維持管理

プラスチック使用製品産業廃棄物排出量

プラスチック使用製品産業廃棄物排出量

生物多様性保全への取り組み

保全活動の一環として、2012年度より当社の知多工場に隣接する約2万㎡からなる中新田緑地を、「カブトムシのすむ森づくり」を合言葉に、従来から地域に生息していた50種の指標種が集まる環境づくりに取り組んでいます。この活動では植樹による森づくりや、ビオトープの整備などに加え、従業員によるボランティア活動として田植えや稲刈りなど自然との触れ合いを通じた環境意識の醸成などにも活用しています。また指標種を定期的にモニタリングすることで、今後の整備に向けた参考としています。現在では19種類の指標種が確認でき、さまざまな生物が定着し始めています。2023年には生物多様性保全活動の企業による優れた事例として「第3回ABINC賞 特別賞」を受賞しました。

  • 自然と人との共生を企業活動において促進することなどを目的に設立された一般社団法人「いきもの共生事業推進協議会」の略称。
企業緑地「中新田緑地」の全体イメージ
企業緑地「中新田緑地」の全体イメージ
アオサギ
カルガモ
アサギマダラ
中新田緑地で確認された生き物たち(左:アオサギ 中:カルガモ 右:アサギマダラ)

水源の森林(もり)づくり

当社は事業用水として長野県王滝村を水源とする愛知用水を使用しています。その水源を守る活動の一環として、2006年から「水源の森林」育成活動に取り組んでいます。2019年には長野県王滝村との間で「森林(もり)の里親」契約を締結しました。約12haの森林を「愛知製鋼グループの森」として、間伐や枝打ち作業を当社社員や家族が定期的に実施するなど、王滝村や地元住民の方々と協力して豊かな森林(もり)づくりを進めています。

水源の森林(もり)づくり

関係団体との連携活動

当社は関係団体と連携した環境保全活動にも注力しています。そのうちの1つである知多半島生態系ネットワーク協議会では自治体、大学、NPOなどの民間団体、企業が参画し、地域の自然における、あるべき姿とその実現に向けた取り組みを通じた、生態系ネットワークの形成に向けて活動を推進しています。参加企業が所有する企業緑地の、環境省が推進する自然共生サイトへの認定を目指して、連携した活動と情報共有などを実施しています。このような取り組みを通じて、生物多様性の損失を止め、自然を回復させる「ネイチャーポジティブ」の実現に向け、積極的に活動していきます。

  • 民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られている区域として環境省により認定された区域
関係団体との連携活動